挨拶はむづかしい
丸谷才一「挨拶はむづかしい」という本がありますが、それとは、何の関係もありません。
いままで、人前で挨拶したことのない(幸運な)方には、理解していただけないかもしれませんが、挨拶というのは、実に、緊張を強いられるものです。
別に、緊張しなくていい、緊張する必要もない(原稿が用意されていれば、棒読みでもいい)とわかっていても、緊張してしまうのです。
慣れもありますが、よほど場数をこなしていないと、慣れることはありません。
特に、少人数(マイクを使わないで、ふつうに話す肉声が伝わる程度)の場で、ちゃんとした挨拶をするときは、要注意です。
意外と緊張するからです。
しどろもどろになりかねません。
むしろ、逆に、人数が多い方が、役割を淡々とこなすという感じになって、緊張しないで済みます。
挨拶というのは、ただ一方的に話をするだけですから、中身を求められる講演や、報告や、あるいは、追及を受けて答弁するというようなものではないので、本来、プレッシャーを受ける類のものではないはずです。
だったら、どうして緊張するんだ? 落ち着いてやればいいじゃないか。などと言う人は、何もわかっていません。