久しぶりにマンションの話。
マンションには、戸境壁(こざかいかべ)というのがあります。
同じフロアの隣の住戸との壁ですが、近年、これに、乾式耐火遮音壁を採用しているマンションが、増えてきました。
これは、従来、マンションでは、一般的だったコンクリート壁(湿式という)に対し、石膏ボードとグラスウールを組んだ戸境壁で、主に、高層マンションやホテルなどに使われてきたものが、中低層マンションにも導入されるようになってきたのです。
メリットは、軽さです。
従って、耐震性にも優れています。
しかし、遮音性が劣るのではないかとか、叩けば壊れるのではないかとか、一部の掲示板で、盛り上がっていたりします。
大手メーカーの資料を見ると、コンクリート壁に劣らない(むしろそれに優る)遮音性能を有していることがわかります。
安アパートの板壁と分譲マンションの乾式壁を、同列に考えてはいけません。
売主(デベロッパー)が、遮音性能(D値)を表示すれば済むことなのに、床(LL・LH値)やサッシ(T値)に較べて、ほとんど表示されていません。(見たことがない)
もちろん、床やサッシと同じく、規格や品質の差は、あるわけですが、聞くところによると、乾式壁は、施工にそれなりの技術を要するらしく(どんな工事にも技術は要しますが)ヘタだったり、手抜きがあると、本来の遮音性を確保できないそうです。
だから、なまじ測定すると、ボロが出るというわけなのかどうか知りませんが、D値は、表示されていません。
思うに、乾式壁よりコンクリート壁が好まれるのは、多分に心理的な理由ではないでしょうか。
隣の住戸は、コンクリートの壁で隔てられている方が、なんとなく安心できるような気がします。
とはいえ、高層マンションでは、乾式壁を使うしか、選択肢はありませんが。